「なんでカメラってこんなに持ち歩きにくいんだ」
その怒りから、このブランドは始まりました。
2010年、カメラマンのPeter Deringは4カ月かけて世界を旅しながら、ずっと同じ不満を抱えていた。首に下げたカメラは重く、撮りたいときにすぐ構えられない。ザックに入れたら出すのが面倒。「もっとマシな運び方があるはずだ」——帰国後、彼は仕事を辞めてアパートに籠もり、10カ月で答えを設計しました。
2011年、Kickstarterで公開したカメラクリップ「Capture」は目標額1万ドルに対して36万ドル超を調達。当時Kickstarter史上2番目の記録でした。それから14年、Peak Designは累計6,000万ドル以上をクラウドファンディングで調達し、年商1億ドルを超えるブランドへと成長しました。しかも一切の外部投資なし。「作りたいものを作り、信じる会社を経営する」というDeringの哲学は今も変わっていない。
カメラマンの現場から生まれた道具は、ときに都市生活者の方が必要としていることがある。今回は、そのエコシステムの核心から実用バッグまで、5アイテムを選びました。
クイックコネクター

Peak Designの道具を語るとき、最初に知ってほしいのがこのパーツです。直径1cmほどの小さなループ状コネクタ——これが「Anchor Links」。カメラのストラップラグに取り付けると、Peak Designのストラップ類と0.5秒で脱着できるようになる。見た目は地味ですが、これを起点にして「ストラップをシーンで使い分ける」「バッグからカメラを瞬時に取り出す」といった世界が開けます。
各コネクタは200ポンド(約90kg)の荷重に耐える設計で、強度は折り紙つき。「こんな細いのに大丈夫?」という疑問は、使い始めてしばらくすると完全に消えます。Peak Designのユーザーが口をそろえて「まずAnchor Linksから」と言うのは、これが入口だから。このパーツひとつで、システム全体へのパスポートが手に入ります。
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軽量ストラップ

重くてかさばるカメラストラップに辟易したことはありませんか。「Leash」は幅1.9cm、重量わずか86gの極細ネックストラップで、使わないときはポケットに丸めて入るほどコンパクトです。それでいてAnchor Links込みの強度は担保されている。
ネック・ショルダー・スリングと3通りの使い方ができ、クイックアジャストシステムで片手で長さを瞬時に変えられる。「軽い日は細いストラップで首から下げて、荷物が多い日はショルダーに切り替える」という使い分けが、信号待ちの5秒でできてしまう。ミラーレス時代に最適化されたストラップだと思います。カメラを持たない日も、バッグにつなぐ用途で使えるのが気に入っています。
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多用途スリングストラップ

Leashより少し太く、もう少ししっかり使いたい人向けのストラップが「Slide Lite」です。片面がスムース素材、片面がグリップ素材の両面設計で、肩に掛けるとズレにくく、首に掛けるとすべりにくい。細かいところが全部考えられています。
クイックリリースバックルが付いているので、バッグと組み合わせたときに「ストラップを外してバッグの中に収める」という動作が流れるようにできる。カメラを使うシーンとしまうシーンの境目がなめらかになる、というか。これが気持ちいいんです。撮影目的ではなく「街歩きのときカメラを気軽に持ち出したい」という人にも、これが答えだと思います。
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デイリーバックパック

¥48,400。正直、高いです。買う前に3回は迷う金額だと思います。でも、Peak Designのバッグを選ぶ人が「後悔した」と言っているのを、ぼくはほとんど見たことがない。
独自の「FlexFold Divider」という仕切りシステムが秀逸で、カメラ機材でも書類でも弁当でも、中身に合わせてレイアウトを自在に変えられる。マグネット式のトップアクセスは片手で開けられ、両サイドから荷物を取り出せる設計。ラップトップスリーブは15インチまで対応。そして、これが生涯保証。破損・故障・不具合が起きたら、購入時期に関係なく無償修理または交換してくれる。10年使ったとして年間4,840円のバッグと思えば、納得感がぐっと変わりませんか。
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スリングバッグ

「バックパックは大げさだけど、手ぶらも不安」という日に選ぶのがこれです。「Everyday Sling 6L」は、斜め掛けにも腰巻きにもなるスリングバッグで、ミラーレス1台とレンズ1本がぴったり収まる。防水ジッパー採用で、突然の雨にも動じない。
カメラが入る設計ですが、カメラを入れない使い方の方が多いかもしれません。財布・スマホ・イヤホン・折りたたみ傘・モバイルバッテリー。これだけで6Lはほどよく埋まる。身体に沿うフィット感が良く、ちょっとそこまでの距離感に向いています。街の中で「なんかセンスいいな」と思ったスリングバッグがPeak Designだった、という経験がある人、けっこういるんじゃないでしょうか。
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まとめ
カメラマンの「もっとうまく持ち歩きたい」という一点から出発したブランドが、都市生活者の「もっとスマートに動きたい」にたどり着いた。Peak Designの道具が信頼できるのは、「現場」という一番厳しい審査を通ってきたからだと思います。
高い、というのは本当です。でも、生涯保証がついていて、10年使える道具として換算すると、意外と悪くない計算になります。「良い道具を長く使う」という考え方の人には、響くブランドだと思います。
by KURO / model: Mao @TOKYO HANG OUT