1973年、第一次オイルショックのとき、大阪のスーパーで起きたトイレットペーパーの買い占め騒動。実は在庫が実際に減っていたわけではなかった、と後に確認されているらしいんです。“なくなるかも”という噂だけが、棚を空にした。そのパニックは国際ニュースになり、太平洋を渡って、アメリカのスーパーの棚まで空にしたというんだから、なんとも人間らしい話だよね。
2026年のいま、ホルムズ海峡が事実上の封鎖状態になっているらしく、日本の原油輸入の約93%がこの海峡を通るそうです。ガソリン価格が記録的な水準になっているのを、みなさんも感じていると思う。でも、パニックになる必要はない。むしろ「なるほど、そういう仕組みか」と理解する機会だと思っていて。
本来このREADYカテゴリーは、1アイテムをじっくり掘り下げるスタイルなんですが、今回はちょっと緊急性を感じたので、特別に6アイテムまとめてお届けします。しかも「食料を備蓄しよう」とはちょっと違う切り口で。「石油と無関係に見えるけど、実は石油が止まると品薄になりやすいもの」という視点で選びました。知的好奇心的に面白いと思うので、ぜひ最後まで読んでみてください。
使い捨てコンタクトレンズ

「コンタクトって石油製品なの?」と思う人も多いと思うんですが、実はそうらしいんです。ワンデータイプのレンズに使われているハイドロゲルポリマーはほぼ100%石油由来の高分子素材で、保存液に含まれる防腐剤や洗浄成分にも石油化学由来のものが多いそうです。しかもコンタクトレンズって、日本だけで約1,900万人が使っているらしい。その全員にとって「代替が効かない精密な日用品」なわけです。ほかの日用品と違って「ちょっとなくても我慢できる」ものじゃない。この非代替性と精密な製造プロセスの組み合わせが、供給が絞られたときにいちばん困るパターンだと思うんですよね。
備蓄のコツは単純で、ワンデータイプなら未開封で約5年間保存できるそうなので、3〜6カ月分を「ちょっと余分に買っておく」だけで十分です。使いながら補充するローリングストックの考え方で動けばいい。あと、この機会に眼鏡のバックアップを1本持っておくことも強くおすすめしたいです。コンタクト派にとって眼鏡って「緊急用」になりがちで、度が合っていないことも多いらしいんです。ちゃんとした度数で作った1本が、いざというときに本当に頼りになる気がして。
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液体洗剤

1973年のオイルショックで最初に棚から消えたもののひとつが「洗剤」だったらしいんです。トイレットペーパーの印象が強すぎてあまり語られないんですが、合成洗剤の主成分である界面活性剤(LASやAESと呼ばれるもの)は、石油から合成されるんですよね。原油の精製量が落ちれば、その副産物から作られる界面活性剤の生産量も連動して減る。しかも生産が追いつかなくなってから「欲しい」と思っても、製造から流通まで数週間から数カ月かかるものを急に増産はできないというワケ。ガクッとくるまでに時間差があるのが、洗剤系の難しいところだと思います。
備蓄として考えると、液体洗濯洗剤は未開封で2〜3年保存できると言われているので、普段使いのブランドの詰め替えパックを2〜3カ月分ストックするのがいちばん無理のない方法だと思います。食器用洗剤も同じ考え方でOKです。ちょっとした保険として、固形石鹸(植物油脂ベース)をいくつか持っておくのも面白いと思っていて。石油由来の合成洗剤が手に入りにくくなったとき、植物油から作られた固形石鹸は代替手段になりうる。非常時の選択肢が1つ増えるというのが、意外と精神的な余裕につながる気がします。
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ラップフィルム

「ラップフィルムって石油製品だったの?」と言われると、確かにそうだよね、ってなりますよね。キッチンのあの透明のフィルム、原料は主にポリ塩化ビニリデン(PVDC)かポリエチレン(PE)で、いずれも100%石油由来なんです。ラップが興味深いのは、「1973年型のパニック買いを誘発しやすい日用品」という性質を持っているところです。生活への依存度が高くて、消費量が多くて、「なくなりそう」という噂に敏感に反応しやすい。加えて製造には石油化学の設備が必要で、代替品がほとんど存在しない。この条件がいくつか重なると、棚が空になるのが早いんですよね。シーンと静まり返った棚を想像すると、なんか妙にリアルな気がして。
備蓄的に考えると、ラップフィルムは使用期限がほぼ無期限で場所も取らないという、備蓄品として理想的な特性を持っています。30cm幅×50mロールを5〜6本ストックしておくだけで数カ月はまったく不安がなくなる。業務用の大きいロールを1本買っておくのも、単価が安くておすすめです。非常時には包帯代わりにしたり、ゴミ袋の代替にしたりといった活用法もあるらしく、普段から使いながら補充しているだけで、いろんな意味で守られてる感じがします。
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カセットボンベ

カセットコンロのガスボンベ、実はこれも石油・天然ガスの精製副産物からできているんですよね。中身のブタンガスは、石油や天然ガスを精製する過程で生まれる「副産物」として取り出されるそうで。つまり、原油の精製量が下がれば、カセットガスの生産量にも連動して影響が出る可能性があるというワケです。さらに厄介なのが、エネルギーインフラが不安定になった状況では「電気もガスも止まるかも」という心理から需要が一気に跳ね上がりやすいこと。供給が絞られる一方で需要が急増するという、なかなかシビアなタイミングが重なりやすいんですよね。
カセットボンベは製造から約7年保存できるという点が、備蓄品としてかなり優秀です。12本入りパックで2〜3箱、つまり24〜36本あれば2〜3カ月分は余裕があると思います。コンロ本体を持っていない人は、イワタニの定番モデルがシンプルで信頼性が高いと評判なので、一緒に揃えておくといいかもしれません。これ、災害時だけじゃなく、普段の鍋料理やアウトドアにも使えるから、「備えながら暮らしを豊かにする」典型的なアイテムだと思うんですよね。買って損はない、という感じで。
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インナーウェア・靴下

これ、ちょっと意外だと思うんですよね。服が石油製品?という感じがして。でも世界の繊維生産の約90%が石油由来の合成繊維らしいんです。ポリエステル・ナイロン・ポリウレタン、つまり一般的なインナーウェアやソックスのほとんどの素材は、原油から作られているというワケ。このカテゴリーが特徴的なのは「品薄が顕在化するまでにタイムラグがある」点で、今日から石油が止まっても、すでに製造・流通中の在庫があるから数カ月は棚が充実している。でも半年後、1年後に気づいたときにはもう手遅れ——ということが起きやすいのが繊維製品の特性らしいんですよね。だからこそ、今のうちに動いておく価値があると思っていて。
備え方は本当にシンプルで、「どうせ補充するものだから、ちょっと多めに買っておくだけ」でいいんです。下着や靴下を10〜15枚常備しておく程度の発想。特別なことは何もない。ひとつアドバイスするなら、化学繊維ばかりでなく綿100%のものを数枚混ぜておくといいかもしれません。素材リスクの分散という意味でも、肌が敏感なときの選択肢としても。毎日着るものだから、快適さとのバランスは大事だと思うので。
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養生テープ・布粘着テープ

これもかなり意外な石油依存アイテムだと思います。養生テープや布粘着テープのフィルム基材はポリプロピレンやポリエステル。粘着剤もアクリル系・ゴム系で、いずれも原料は石油由来なんですよね。面白いのが「台風シーズンと石油危機が重なったとき」の需要爆発です。台風が近づくと窓ガラス補強で養生テープの需要が跳ね上がるじゃないですか。これが石油危機による供給制約と重なると、一気に棚が空になる可能性がある。需要増と供給減が同時に起きるシナリオは、意外と考えておく価値があると思うんですよね。
養生テープや布粘着テープは未開封で3〜5年保存できると言われていて、かさばらないし、普段使いの汎用性がかなり高いんですよね。養生テープ(緑色の剥がせるタイプ)は部屋の模様替えや荷造りに、布粘着テープは段ボールの補強や応急処置に。各2〜3巻ストックしておくだけで、かなり頼りになります。気分的には「災害グッズ」じゃなくて「ちょっとしっかりした文具」の延長で買えるから、心理的なハードルが低いのがいいと思っていて。このジャンルはそういう感覚で揃えていくのがちょうどいい気がします。
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1979年の第二次オイルショックでは、1973年を経験した日本人はパニックにならなかったという話があるらしいんです。知っていた人たちが、冷静だったから——と。今回の6アイテム、全部一気に揃えようとすると大変かもしれないけど、「そういえばコンタクトそろそろ補充しておこう」「洗剤の詰め替えもう1個ストックしておこうか」という感覚で少しずつ動くだけで全然違うと思います。パニックじゃなくて、余裕。それがいちばんかっこいい備え方だと思うので。
by KURO / model: Mao @TOKYO HANG OUT