我が家の玄関には、防災リュックが置いてあります。水を入れて、ライトを入れて、モバイルバッテリーも足して。「ひとまず準備はできた」と、僕はわりと満足していました。
でも先日、部屋でコーヒーを淹れながらふと顔を上げて、気づいてしまったんです。そのリュックを取りに行くまでに、僕は背の高い本棚の前を通って、大きな窓のそばを抜けて、玄関までたどり着かないといけない。リュックの中身はあんなに気にしたのに、そこへ向かう「部屋そのもの」のことは、まったく考えていませんでした。
防災というと、つい「何を備蓄するか」「何を持ち出すか」に意識が向きます。でも少し調べてみると、いざというときに効いてくるのは、その手前の数十秒——「揺れている部屋の中で、自分が動ける状態でいられるかどうか」だったりするようです。被害の多くは、案外と身近な家具まわりで起きていると言われています。
今日は、怖い話をしたいわけではありません。むしろ逆です。数千円と、ちょっとした休日の手間で、毎日をほんの少し安心して過ごせるようになる。そういう「見落としがちな3つ」を、実際に自分の部屋で試した順番に紹介します。気が向いたものから、ひとつでいいと思います。
1. 家具は「動かない」だけで、ずいぶん変わる

最初に手をつけたのは、家具でした。大きな揺れのとき、倒れた家具でケガをしたり、散らばったモノで通り道がふさがれたり——そういうことが起きやすいそうです。逆に言えば、家具さえ大きく動かなければ、その部屋はだいぶ「居られる場所」になります。
とはいえ、いきなり壁にネジを打つのはハードルが高い。そこで僕が最初に置いたのが、耐震ジェルでした。iHouse all 耐震ジェル 極は、テレビや電子レンジ、PC、軽めの棚の脚の下に貼っておくだけ。透明で目立たず、水洗いすれば貼り直せます。数百円から1,000円ほどで、レビューも3,600件を超えていて、最初の一歩としてはちょうどいい安心感でした。
ひとつだけ正直に書いておくと、ジェルは「ズレ・小さな転倒」を抑えるもの。背の高いタンスや本棚そのものを支える力まではありません。大型家具は、天井との間に入れる突っ張り棒と組み合わせるのが本来の正解です。まずはジェルで小物まわりを片づけて、余裕が出たら突っ張り棒へ——くらいの順番で、僕はちょうどよかったです。
2. ガラスは「割れても、散らばらせない」

次に気になったのが、窓と食器棚のガラスでした。割れること自体より、破片が床いっぱいに散らばることのほうが、その後の行動を縛ります。スリッパを履く余裕もなく、足元がガラスだらけだと、安全な場所へ動くこと自体が難しくなる。これは言われてみて、なるほどと思いました。
貼ったのはニトムズ ガラス飛散防止シート 凹凸面用(M6070)。透明で、貼ったあともほとんど見た目が変わりません。1,509円で、窓の内側にゆっくり貼っていく休日の作業は、思ったより気持ちのいいものでした。UVカットも兼ねているので、家具や床の日焼け対策にもなります。食器棚には、幅の細い食器棚用(M6130・559円)が貼りやすかったです。
ちなみに防災は「家のなか」と「持ち出し」の両輪で、夏は持ち出し側も中身が変わります。以前まとめた夏の防災ポーチの見直しと合わせて読むと、家のなかと外、両方の備えが一度に整います。
3. 火は、揺れがおさまった「後」にやってくる

最後が、いちばん「目から鱗」だったものです。地震そのものより、そのあとに起きる火事。その原因の多くは、実は電気だと言われています。停電が復旧して電気が通ったとき、倒れた家電や傷んだ配線から火が出る——いわゆる通電火災です。
消防では「避難するときはブレーカーを落として」と案内されていますが、慌てている最中に、わざわざ分電盤まで戻って自分で落とすのは、正直なかなか難しい。そこを自動でやってくれるのがスイッチ断ボール3でした。設定した震度以上の揺れを感知すると、台の上のおもりがコトンと落ちて、その重みでブレーカーが下がる仕組み。電源もいらず、家庭用ブレーカーならだいたい取り付けできます。
3,680円で、感知する震度は5・6・7から選べます。宮城県でつくられている国産品、というのも、こういうものはなんとなく気持ちが落ち着きます。取り付けてみると、「家を出るときに何かを忘れても、ここだけは勝手に守ってくれる」という感覚があって、これが意外と日々の安心につながりました。
備えは、部屋に対しても、できる
耐震ジェル、飛散防止シート、感震ブレーカー。3つ合わせても、ちょっといい外食一回分くらいです。どれも派手さはないけれど、「持ち出す前に、まずこの部屋で無事でいる」ための、静かな備えでした。
防災リュックや備蓄を整えるのと同じ気持ちで、部屋そのものも少しだけ整えておく。たとえば大人の救急セットの選び直しと並べてみると、「モノを足す備え」と「部屋を整える備え」は、ちょうど両輪なんだなと思います。週末に一つずつ、気楽に。それくらいの距離感が、たぶん長続きします。
Stay ready. Stay sharp. Stay you. 揺れたあとも、慌てず動ける部屋にしておきましょう。
by KURO / model: Mao @TOKYO HANG OUT


